Reverie vocal training

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vocal competition vol2 10.10大阪 審査スコア詳細

10月10日に大阪で行われたvocal competition vol2 に審査員として呼んでいただきました。

今回は試験的に審査スコア詳細を開示していきたいと思います。

受賞

優勝   馬場 亜衣里 様  The hole / King Gnu

準優勝  高橋 綾一  様  アイシテル / MONKEY MAJIC

大会の詳細や審査基準については既に掲載が済んでおりますのでこちらをご覧下さい。

Vocal Competition vol.2 10.10大阪 審査基準

今回スコアを開示しようと思った理由は以下の通りです。

・自分の歌唱に「60点」とだけ点数づけられても全体の中で高いのか低いのかわからない。

・自分の音程管理に付された点数が「20点満点中10点」だとして、これが大会の中で高い位置付けなのか低い位置付けなのかわからない。


審査結果がより納得ゆくものであるように、

寸評がご参加される皆様の歌唱技術向上に役にたつものであるように

審査員として何が出来るのか、何をすべきなのかをここ数年考えておりました。


審査結果詳細を開示することについては賛否両論あろうかと思いますが、

私に審査員をご依頼いただいた運営の方に喜んでいただけるよう、

大会にご参加いただいた参加シンガーの皆様に喜んでいただけるよう、

試行錯誤を常に行なっているということをご理解いただければ幸いでございます。


ご自身のスコアと全体図を見比べて、

どのくらいの評価をされているかを確認してみていただきたいと思います。


総合点数 : 0〜100点

0点〜45点 0件

50〜60点 5件

65点 6件

70点 5件

75点 6件

80点 1件

85点 1件

100点〜90点 0件


今回の審査は長尾先生と私藤井の2名体勢で行われ、

このブログでご紹介するスコアは私藤井だけの点数です。

長尾先生の審査基準は私とは異なる観点、異なる審査方法を取られています。

各シンガーへの評価は共感出来る指摘が非常に多く、

ハイレベルで的確な審査を行う先生だと再確認させていただき、

また非常に多く勉強をさせていただきました。

大会から要求された上位受賞者選出は優勝と準優勝の2件でした。

私の点数付けにおいて85点を記録したシンガーは大会で優勝され、

2位に入られたシンガーは私個人の評価点としては75点でした。

私は全件の歌唱録音をとり、微差であった上位シンガーの歌唱を聞きなおし

最終スコアを提出しました。

また、全件審査終了後、長尾先生と審査会議を行い、総合的な判断で

上位受賞者2件の選定を行いました。

追記

ご指摘があり、総合点数の修正を行いました。

単純に点数の合計、足し算を私が間違え、70点と記載のシンガーについて、正しくは80点評価であることが判明しました。

上記総合点数の記載について、70点を1件減、80点を1件増と修正しました。

この方については長尾先生、主催の方と相談を行い、審査員2名で運営に提出する上位入賞者は優勝・準優勝の2名であることで、最終提出順位に変更がないことを確認しました。

今回の大会では審査をしながら点数合計計算をし、審査寸評の袋詰め作業などの作業を行いながら次の方の歌唱前MCを聞くという審査状況でしたので、点数合計計算に間違いがないかを十分に見返す私の意識が不足していたと思います。ご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした。今回の件を活かし、間違いの起こらない審査結果提示が出来るよう改善策を検討してゆきたいと思います。    更新ここまで 10.17


上段の1番

発声  : 0点・5点・10点・15点・20点

0点〜5点 0件

10点 12件

15点 12件

20点 0件

全体として、高音域に力みが強い発声をされる方がやや多かったように感じました。

聞き手が「なんだか苦しそうだな」と思ってしまう発声では、

聞き手が充分に楽曲の雰囲気に浸れないのではないかと思いますが、

なかなかひとりで発声の質を向上させることは難しいですね。

技術差がつきやすい項目のひとつなのかなと思いました。


上段の2番

音程  : 0点・5点・10点・15点・20点

0点〜5点 2件

10点 12件

15点 10件

20点 0件

音程の管理というよりは音高の管理レベルで差がついた審査であったと思います。

聞き手に違和感を強く与える音高のミスは無くしていただく意識が重要です。

ミスの程度や頻度もより小さくする努力をしていただくと

「高い評価スコア=聞き手にとって聞き心地の良い歌唱」に近付くと思います。

この項目は15点以上を狙っていただきたいところです。


上段の3番

リズム : 0点・5点・10点・15点・20点

0点〜5点 0件

10点 5件

15点 10件

20点 9件

ミスがないこと、違和感がないことを満点条件にしたのはリズム管理について

ちょっと易しめの審査基準だったかもしれません。

リズム管理は高得点帯に評価が集中したと思います。

ミス程度によって点数が減っていく完全減点方式を採用しましたので、

ここは20点満点スコアを得ていただきやすい項目でした。


上段の4番

表現力 : 0点・5点・10点

0点 0件

5点 24件

10点 0件

こうなるだろうな、という予測をして臨み、その通りの結果となってしまいました。

何も表現しようとしていないという0点相当のシンガーはおられませんでした。

聞くどなたにも、何を主張されたいかがとてもよく理解出来る。という超ハイクラスの表現をされる10点相当のシンガーはおられませんでした。

しかし表現力という観点から全員が同じレベルであったとするのはあまりにも雑な審査です。

もっと皆様に喜んでいただけるような審査方法がないかを検討する機会を与えていただきました。この項目については私の審査基準設定に甘さがありました。表現力を特に重視されて歌唱したシンガーにとってはややフェアな審査が行われず、申し訳ありませんでした。


下段の1番

オーディエンスへの意識 : 0点・10点・20点

0点〜10点 12件

20点 12件

生演奏のライブステージを皆様がお楽しみいただけたように思います。

その中でも観客を楽しませたい、魅せたいという思いを強く感じたシンガーに20点を付させていただきました。また、客席の反応も考慮にいれさせていただきました。

やはりシンガーは聞いて下さるお客様あっての存在、聞き手に自分の歌唱魅力が届いているかな、違和感を感じて歌唱を聞いていないかな、と気にして歌唱をいただくことは極めて重要なことであると考えています。


下段の2番

前奏・間奏・後奏の立ち居振る舞い : 0点・5点

0点 7件

5点 17件

多くの方がライブステージであること、生演奏バンドとの歌唱であることを考慮して聞き手を魅了するステージングをされようと意識をいただいたと思います。

バンド奏者と目を合わせてタイミングをはかってみたり、一緒にステージを作り上げようとされている方には特に高評価を付したかったですね。


下段の3番

体全体で歌を表現 : 0点・5点

0点 4件

5点 20件

多くの方が身振り手振りを用いて歌唱ステージに臨まれたと思いました。

身振り手振りを加えない方が雰囲気が出る、という選択をされている方について、失点指摘とならないよう特に注意を加えた審査を行いました。

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

まとめ

いかがだったでしょうか。

自分のスコアを見て、自分が本大会中でどのくらいの評価位置付けなのかを確認していただくことが出来るかと思います。

今回大会運営から依頼を受けた審査方針は

歌唱技術の高さを判断する大会でありたい、ということ

生バンドでの歌唱ステージを活かして、聞き手を楽しませる歌唱をしているかどうかを判断したい、ということ

という主だって2点でした。

参加シンガーの皆様はお一人お一人素敵な歌唱ステージを展開されたと思います。

審査をしながらとても楽しく皆様の歌唱ステージを拝見させていただきました。

有難うございました。

vocal competition は今回第二回目になる若い大会ですが、

生演奏バンドで歌唱が出来る、日本でも非常に珍しい大会です。

リハーサルの体制が整えられていたり、DVDの作成やメイクに至るまで

参加されるシンガーがより楽しくステージ歌唱に取り組めるよう、

思い出に残る歌唱ステージが出来るようにされている主催者の意思を感じました。

第三回大会も既に企画が始まっているということですので

こちらのTwitterアカウントをフォローして情報をお待ち下さい。

大会主催者様Twitterアカウント @8822fe3a93a44ea 

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お時間がある方向け。

審査員のつぶやき

私たち審査員という立場は大会運営からご依頼を受け、

よりご参加されるシンガーが喜んでいただける大会になるように

フェアで、丁寧、正確な審査を求められていると考えています。

私のような若輩が、何を偉そうにとご批判を承知で申し上げますが、

そういう意思を感じられない雑な精査をされる審査、

根拠のなさ、審査の曖昧さ、順位付けの違和感、

またシンガーの気持ちを考えない寸評のコメント欄を目にする機会があることは事実です。

審査員という立場が何か人より偉いわけではありません。

むしろ本来歌に順位付けなどされようはずもない、

お一人お一人一生懸命に歌唱される皆様の素敵なステージに順位を付ける、

重大な責任を背負っている立場であると思います。

であるからこそいい加減な審査が行われて良いはずがありません。

ご参加いただくシンガーの皆様により喜んでいただけるように

一生懸命に審査に取り組むこと。

また、それこそが大会運営の方々に喜んでいただけることだと思います。

勿論私もまだまだ未熟者ですので

今回のように基準の作成が甘い箇所があったり、ミスジャッジをすることもあると思います。

それでもご参加いただける皆様からご満足いただける審査クオリティを目指して、

引き続き歌唱理論の勉強、

より正確な審査が出来るよう努力を怠らないようにしてゆきたいと思います。