Reverie vocal training

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東京歌唱審査会(vocal7)について審査基準

来る九州久留米大会の審査基準に合わせた練習会が東京で行われました。

この九州の大会は高額賞金で有名な大会で優勝者は50万円ほどの賞金があるそうです。

高額な賞金がかかるということはそれだけ責任のある審査スコアの提出を行わなければなりません。

東京の審査会にお邪魔して審査のお手伝い兼、審査の練習を行わせていただきました。

審査方法について

「もっとレッスンを」

余程聞き手のことを考えて歌唱されていなくて、

シンガーにそれを伝えて差し上げる方が良いと判断する場合に使用する。

「普通」

どの程度がいわゆる普通かなんてのは人によって価値観が様々。

プロシンガーの普通と上級アマチュアの、中級以下アマチュアの普通は大きく異なる。

シンガーが貰って「普通」評価だけの寸評が有益であろう筈もない。

普通、とされるのならば何故普通より上評価ではなかったのか。の寸評への記載が重要だと考える。

「大変良い」

減点方式で言うところのノーミスでなければいけないか。

少量のミスを容認してゆくかはその審査員によると思うが、

私はノーミスかそれに準ずる内容に付して行きたいと思う。

誰にも彼にも最高評価が付されていては喜びも少ないものとなると考える。

個別要素の審査基準

音程

厳密に言えば音と音のつながり方などを考慮すべきであろうが、

ここでは音高管理という意味合いをもって「音程」と表していると解釈して進める。

完全減点方式で行う。

「大変良い」=S評価

1曲を通して音高管理に些細なミスも感じられない場合に限ることとする。

苦しい発声になっていようが、薄かろうが、音が切れぎれしようが、

とるべき音高が間違いなく取られていれば音高管理は適切とみていく。

「間」=A評価

強い違和感がないことが条件

細かな音高管理のミスが複数回あったとしても、

聞き手に対して音高管理が要因で極めて強い違和感を感じさせないならばここ。

回数、程度を総合的に判断して「僅かな違和感」までにしたい。

「普通」=B評価

強い違和感が感じられたらここに。

細かなミスがなく、大きなミスが1つ、だとしてもここにする。

聞き手が歌唱に聞きひたれず、あれ?ってなったらこれより上位評価は付さない。

「間」=C評価

音高管理についてやや意識が低いと評価すべき歌唱内容に付す。

「もっとレッスンを」=D評価

大半の音高が適切に管理されていない場合に付す。

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リズム

伴奏音源への適応が出来ているかを判断の主要素とする。

聞き手に魅力を提出するようなリズム取りの工夫があった場合には相応加点を検討すべきであると思うが、

それが無くても最高評価点は取得出来るように、

加点要素を含んだ減点方式が妥当であろうと思う。

「大変良い」=S評価

1曲を通してリズム管理に些細なミスも感じられない場合に限ることとする。

高い魅力提出があって加点があったとしても、

リズム管理に少しでも違和感がある場合にはこの評価点を付さない。

「間」=A評価

ごくわずかな違和感を感じるリズム管理があった。

複数箇所、強く違和感があるリズム管理があったが(B評価相当)

リズムをうまく魅力提出に使えている場合にはA評価に繰り上げることを検討する。

「普通」=B評価

複数箇所に違和感を感じる。もしくは強く違和感を感じるリズム管理であった。

「間」=C評価

リズム管理について意識が低いと評価すべき歌唱内容に付す。

「もっとレッスンを」=D評価

歌唱の大半が、伴奏と合っていない場合に付す。

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表現力

非常に難しい評価要素であると思う。

原文のまま、表現を行う技術の高さや意識を判断してみようと思う。

評価は別格のSランクはともかくとして、

A(なんとなくわかる)B(わからなかった)C(伝えようとしていない)の3つに大別されることになると思う。

加点減点方式ではなく、SABCDの5択評価で行う。

「大変良い」=S評価

歌詞読み、雰囲気の統一感、最適な音色の選択、抑揚管理など表現技術に関するあらゆる面から最適な歌唱が選択され、

シンガーがなにを主張しているのかが誰にでもはっきりと聞き手にわかる歌唱。

ここにチェックがつくシンガーはアマチュアではないと思う。

「間」=A評価

汲み取ることが出来る歌唱。

何を表現したいのか、どんな雰囲気なのかがなんとなくでもわかる。

「普通」=B評価

シンガーが何を伝えようとしているのかはわからない。

しかし、聞き手に雰囲気や主張を伝えようとしている姿勢を感じる。

「間」=C評価

シンガーが聞き手になにかを届けようとしている意識が感じられない。

「もっとレッスンを」=D評価

歌唱のミス、違和感が強いため、表現技術に着手しているのかが判別出来ない場合に付す。

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発声

魅力的な発声に加点がなされるべきであるし、

違和感がある発声には減点がなされるべきである。

加点減点の複合方式をとるべきであると考える。

「大変良い」=S評価

シンガーの魅力が発声技術によって大変よく感じられるほか、

聞き手に違和感となるような発声のミスがない。

「間」=A評価

・シンガーの魅力を聞き手に届けようとされる発声ではないが、

 聞き手に違和感を与えない良発声であった。

もしくは

・シンガーの魅力が充分に伝わる発声をされているものの

 聞き手が違和感を感じるような箇所がある。

「普通」=B評価

聞き手が違和感を先行させて感じてしまうような強い発声の違和感がある。

「間」=C評価

聞き手に聞き心地の良い発声をしようとする意識を高める必要がある。

「もっとレッスンを」=D評価

発声に難が強く1曲を聴くことが難しい場合に付す。

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総合評価

シートに記載はないが、私独自に総合評価を「S ー AA ー A ー B ー C」の5段階で評価値を記載する。

「発声・リズム・音程・表現」各項目の審査だけで歌唱の審査は完結しない筈だと考えるからである。

・歌唱の聞き心地の良さ 

・歌唱の聞き応えの高さ

・歌唱魅力の提示

この3点を中心に、1曲の歌唱を聞いた総合評価を行うこととし、

順位付けはこの評価を最重要視する。

上記の「発声・リズム・音程・表現」の全てがS評価を得るシンガーがSランク該当は確かであろうと思う。

全てA評価のシンガーがそのままAランクになるとは限らない。

その4要素が相応のレベルにまとまっていても、

他の観点から聴き心地、聞き応えの全体印象が大きく変わることは多くあると考える。

Sランク 

ミスがなく聞き手に聞き心地良い歌唱でありながら、

シンガーの歌唱魅力の提出がなされている。高い聞き応えがある。

プロレベルの歌唱であると言える内容。

AAランク 

僅かに歌唱のミス、違和感を感じるものの、

充分に聞き心地、聞き応えがある。

上級アマチュア〜プロレベルの歌唱と言える内容。

Aランク

歌唱に違和感があり、違和感が魅力提示よりもやや浮いてしまう印象の歌唱内容。

中〜上級アマチュアレベルの歌唱といえる内容。

Bランク

歌唱の魅力も取れるが、聞き手に対して違和感を強く与えてしまう歌唱内容。

Cランク

聞き手に歌唱を届ける意識が不足されていると判断する歌唱内容。

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そんな余裕があれば・・・だけど

全てのスコアを写真をとって集計し、ホームページで掲載してみたり出来たらきっと

自分のスコアが全体から見てどの程度とかがわかって意味のあるものになると思う。

例えば

総合  A・・・受賞圏外

音程  B  

リズム A

表現力 A

発声  B

と言われても自分がどの程度の評価を全体から受けたかは総合のところでしかわからない。

ここにこのようなシートがあったらどうだろう。

本日の藤井の審査スコア

音程

S9件 A15件 B15件 C1件 D0件

リズム

S15件 A10件 B5件 C0件 D0件

表現

S0件 A15件 B15件 C0件 D0件

発声

S5件 A10件 B15件 C0件 D0件

総合

S1件 AA 6件 A10件 B13件 C0件

これが発表されれば自分の歌唱の課題が全体の中でどのような評価を受けたかが一目瞭然である。

総合Aランクならば藤井個人の審査ではあるが8〜17位範囲が確定する。

AA評価を得ていれば1〜7位の上位であったことがわかる。

個々の要素についてもリズムA評価はいいように見えても、そうでもないということがわかる。

逆に表現A評価はトップグループに属しており、全体の中でも表現力が高かったと評価されたことがわかる。

まあこれがやれるかどうかは集計の大変さによりますね。